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地震予知
地震予知は可能なのか? 東海大地震を想定して期待されている地震予知の理論と仕組み、予知の確度、想定される被害状況など、地震予知の実態を解説する。
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読書ガイド
 地震国・日本に住む私たちにとって、地震予知は「見果てぬ夢」であろうか。1975年に中国遼寧省で発生した海城地震の直前予知が成功した後、多くの地震学者はやがて地震予知が実用化できると考えた。しかし、それが難しいことは次第に明らかになった。1995年の阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)の発生は、現時点では多くの地震が予知できないことを印象付けた。科学技術庁の地震予知推進本部は地震調査研究推進本部へと、「予知」を除いた名称の組織へと変更された。文部省測地学審議会は1997年の「地震予知計画のレビュー」の中で「予知の実用化の見通しは立っていない」と認めた。政府の地震調査委員会や気象庁は、近い将来の発生が予測される、マグニチュード(地震の規模を表す数値)8クラスの東海地震以外の地震については、予知が難しいとみている。
「地震予知」は実際には、数十年から数百年の長期にわたる地震発生を予測する長期予知、数年から数十年先の中期予知、そして、数日から月単位の短期予知(または直前予知)に分かれる。「地震予知」が話題になるのは、多くの場合、直前予知のことだ。「予知の実用化の見通しが立っていない」というのも、直前予知を念頭に置いている。しかし、繰り返し起こる地域での地震発生については、繰り返しの期間や規模がかなり明らかにされている。地震予知を論じる際には、どのレベルの予知かを明確にする必要がある。
『地震予知を考える』(茂木清夫著、岩波新書)は地震学者の組織である地震予知連絡会(国土地理院長の私的諮問機関)の会長に就いていた著者が、30年余りに及ぶ日本の地震予知研究史を概説するとともに、兵庫県南部地震や伊豆大島近海地震(1978年)、日本海中部地震(1983年)などの具体的な地震を例に挙げながら、予知の可能性を論じている。伊豆大島近海地震では、本震に先立ち活発な前震が観測された。こうした前兆現象の明確な地震がある一方、前兆現象がほとんど現れないまま発生する地震もある。いずれは地震が起こると推定される地震の空白域や活断層の研究をもとに長期・中期予知を充実させ、警戒を要する地域ではリアルタイムで前兆現象を観測すれば、短期予知が成功する場合もあると、著者は主張する。また、東海地震の場合、地震予知の「空振り」は首都圏の大混乱を招く可能性があるが、空振りを恐れていると、前兆の疑われる現象があっても情報を出さない「見逃し」をしかねない。そこで、警報の手前の「注意報」のような情報を出すことを検討すべきだと指摘している。これは2004年に制度改正で盛り込まれた。
『地震は妖怪 騙された学者たち』(島村英紀著、講談社+α新書)は、「妖怪」である地震がいかに多様な姿かを具体的な事例をもとに説明し、予知の難しさを指摘している。
 前兆現象として知られるものに、「動物の異常な動き」がある。『地震の前、なぜ動物は騒ぐのか:電磁気地震学の誕生』(池谷元伺著、NHKブックス)はESR(電子スピン共鳴)計測の研究者である筆者が阪神・淡路大震災後に集められた動物の異常行動などの「未科学現象」(まだ科学になっていない現象)を、科学に高めようとする試みを伝えた書だ。著者は地震前兆時に局所的な地殻の破壊が起こると、電磁波が発生するという「断層の電磁気モデル」を提唱し、電磁波を感じた動物が異常行動を起こすと推定している。実際に大阪大学で花崗岩を圧縮する実験をして、破壊前に電磁波が発生し、近くにいるネズミやインコなどに異常行動が起こることを確かめた過程は興味深い。
『地震予報に挑む』(串田嘉男著、PHP新書)は民間天文家の著者が流星観測中に異常なFM電波を受信したことをきっかけに、電波観測による地震発生予報に取り組んだ経過をまとめた労作だ。地震発生に先行して起こる上空の電離層の変化がFM電波の異常として観測されているとの仮説を提案している。市民の協力を得た短期予知の公開実験で、多くの地震の予報に成功し、社会的に話題を集めた。時期や場所、規模をどれだけ特定できるかが、今後の課題になるだろう。
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