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グローバリゼーション
社会主義諸国の消滅、衰退にともなって、世界経済は単一市場化の方向にある。その実態と経済のグローバル化がもたらす弊害とは。アメリカリズムの反映でもある市場原理中心主義の是非や、日本経済はどうあるべきかを考える。
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読書ガイド
 世界が経済、文化など様々な面で均質化の方向に向かっていると感じる人は多いだろう。世界中いたるところにマクドナルドに代表されるファストフード店が展開し、どこに行っても日本車が走り、アメリカンロックが多くの国で流れる。マネーは国境を簡単に越え、ヘッジファンドは妖怪のように市場に入り込んでは攪乱する。
 こうした動きを表す概念として登場したのが、「グローバリゼーション」であり、グローバリゼーションにもとづく考え方が「グローバリズム」といえるだろう。
 エコノミスト、佐和隆光による『市場主義の終焉』(岩波新書)によれば、「グローバリゼーションという言葉は、八〇年代末までは、学術論文にも新聞にも登場しなかった」という。おそらくこのころから、政治、経済、文化などさまざまな面で、世界の単一化傾向が急速に進んでいったようだ。
 中でも、経済面を軸とした均質化、単一化傾向はめざましく、その是非についての議論も盛んだ。同書でも「グローバリゼーションの光と影」の章で、市場のグローバル化を認めながらも、アメリカ型の市場主義が地球規模で広がっていくことによる先進諸国と発展途上国との富の格差、地球温暖化など環境汚染を指摘する。IT(情報技術)の革新によってアメリカ型の資本主義が事実上経済的な"勝利"をおさめたが、安易にそれに追随する日本国内の論調を批判する。グローバリゼーションは、国際的に共通のルールや規制を設けることはできても、そもそも各国の置かれた初期条件が違うことから、結果として不平等、格差を生じると問題視する。また、グローバル資本主義が常に生産能力の過剰という問題をはらむことから、グローバル経済のガバナンスをつかさどる機関なしに、グローバル資本主義は存立しないことを強調する。
 同じく市場主義信奉に異議を唱えるエコノミスト金子勝による『長期停滞』(ちくま新書)の中で、著者はグローバリゼーションを、金融自由化政策からはじまる3つの局面で時代を追ってとらえ、アメリカ主導によってもたらされた、経済システムを支えるグローバルスタンダードの破綻を説く。日本経済がグローバリゼーションを安易に組み込むことを批判する。
『変貌する日本資本主義』(宮本光晴著、ちくま新書)もまた市場原理とグローバリゼーションとの関係に言及し、地球規模での市場のガバナンスのあり方を考察する。そのためにグローバルな資本主義のあり方を検証し、同時に日本型システムのあり方を考える。
『ハイエナ資本主義』(中尾茂夫著、ちくま新書)は、9.11以降の世界の動きに焦点をあてることからはじめ、時事的な事例を多く引用、ジャーナリスティックな視点をまじえてグローバリズムの経済、文化的な問題点をとらえながらも、「半グローバリズム」を提唱する。その意図するところは、「極端なナショナリズムを排し、幻想的なグローバリズムにも陥らず、地域的にはリージョナリズムを採る」ことにある。
 経済面のみならず、グローバリゼーションという概念のもつ多様性を、学問的な視点でとらえようと試みたのが『グローバリゼーションとは何か』(伊豫谷登士翁著、平凡社新書)。この中でグローバリゼーションとは「近代における不可避的な過程であるとともに、各時代における越境空間の形成される状況を示し、さらにそうした越境空間を創りだす機構やイデオロギー等の企図でもある」という。
 均質化の過程は強者の論理でもあるが、歴史をたどれば物理的に地球規模での移動が達成されたときからそれは進んでいたともいえる。『世界一周の誕生:グローバリズムの起源』(園田英弘著、文春新書)は、19世紀になって米・英が鉄道と蒸気船により世界を「丸く」とらえていく史実を克明にたどる。この過程で日本の開国もあったのだが、この時マルクスは世界市場の形成をみてとったことが紹介されているのも興味深い。
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