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日本の外交
今後の日本外交のあり方の模索と提言。明治以降から今日までの「歴史としての日本外交」の航跡を俯瞰。日米交渉の経緯を縦糸に、若きKGB工作員の野望を横糸に、独自の視点で編まれた開戦外交史のドラマなど。
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読書ガイド
 約150年前、突然、「世界」という渦に放り込まれた日本の外交は、現代に至るまで「場当たり的」、「受動的」といった印象がぬぐえず、一種国民的トラウマとなっている感がある。それだけに国民的関心も高く関連著作も多い。特にここ数年、外務省に対する国民の不信感が募りつつあるだけに、外務省関連書物の出版が目立つ。
 一連の職員関連の公金使い込みや杜撰な経理、さらには田中真紀子外務大臣との確執などで露呈された外務省に関しては、『外務省:外交力強化への道』(薬師寺克行著、岩波新書)が、新聞記者という第三者的な立場から根本的な体質改善の必要性を指摘している。東西の冷戦が終わり、国際環境が日々激変しつつあるにもかかわらず、外務省の縄張り重視主義、国民の理解を得る努力を怠る国内世論軽視風潮、日米同盟基軸政策、国会答弁等で繰り返される前例踏襲主義などの伝統的体質を指弾する。田中真紀子外務大臣更迭に至る一連の騒動、鈴木宗男代議士と外務省の癒着、瀋陽領事館事件等に関する事実の客観的分析と解説は、『外務省「失敗」の本質』(今里義和著、講談社現代新書)に詳しい。
 一方、勤続25年の元外交官が、自分の経験や同僚の例を基に、日本の外務省職員を取り巻く「過酷」な環境や華々しいイメージとは程遠い職務の内実などに触れたのが、『外交官:ネゴシエーターの条件』(浅井基文著、講談社現代新書)である。対外的任務を扱う外交官が、与野党を含めた国会対策等の「国内対策」にがんじ搦めになり情報収集・分析に支障をきたしているのが現状だという。
 日本の外交政策批判としては、『日本外交:反省と転換』(浅井基文著、岩波新書)が、一外務官僚としての現場での経験を基に、戦後の親米路線に徹した日本政府の外交方針、政策決定過程、また、アジア諸国に対する優越感を含む国民の姿勢に再検討を迫っている。『日本外交 現場からの証言:握手と微笑とイエスでいいか』(孫崎享著、中公新書)は、外交を情報収集・分析、政策決定、交渉の3段階に分け、各段階における日本外交の問題点を現場の豊富な例を示しながら明快に指摘する。外交が親善ではなく、異なる価値観のせめぎ合いだという本質について、一般人に理解を求めようとする。
『日本外交の情報戦略』(岡崎久彦著、PHP新書)は、元外交官で外交問題評論家である著者が、イラク問題、対米国政策、対中国政策、外務省に対する提言などをまとめたもの。時事的問題に即して2001から3年まで新聞・雑誌に発表した論考をおさめている。戦後の日中関係は、日本が中国の世界戦略と国家目標に振り回されていると指摘するのは、『「日中友好」という幻想』(中嶋嶺雄著、PHP新書)である。靖国問題、教科書問題、歴史認識問題、尖閣諸島問題等は、すべからく日本側の「日中友好」議員や外務省チャイナスクール(アジア局中国課)と呼ばれる外交官が、中国を刺激しないことを優先して作り上げてきた「友好」関係だと指摘する。また、『地域間交流が外交を変える:鳥取-朝鮮半島の「ある試み」』(片山善博、釼持佳苗著、光文社新書)では、江戸時代の朝鮮人漂流民と地元民との交流から端を発した、鳥取県と韓国の地域間交流が、外交という国同士レベルの交流に与える影響を示唆している。
 近代以降の日本の外交史を扱ったものでは、『日本の外交:明治維新から現代まで』(入江昭著、中公新書)と『新・日本の外交』(同)がある。日本政府が採ってきた外交原理を検証しつつ、政治や軍事のみならず国民のアイデンティティや世界観などの理念を重視し、それらの変化を歴史の動きの中で捉えようとしたもので、ハーバード大学歴史学部教授の著者(米国外交史専門)は、歴代日本政府の外交理念の貧困を指摘する。一方、同じ時代を扱っている、日本を代表する外交史学者による『日本外交の軌跡』(細谷千博著、NHKブックス)は、大国との関係と地域における役割という複雑な面をもつ日本外交をコンパクトにまとめている。
『日米外交の人間史:黒船から経済摩擦まで』(越智道雄著、中公新書ラクレ)は、時代を超えて通念的に存在する日米間の心理的距離を、松岡洋右とフランクリン・ルーズベルトのような歴史上の人物の対比を例に説いている。『未完の経済外交:幣原国際協調路線の挫折』(佐古丞著、PHP新書)は、両大戦間期に、幣原喜重郎らが推進した軍備より自由貿易を優先させた政策の歴史的流れを追っている。
 外交は国家間同士の交渉であり、国家の利益優先のため、第三国あるいは主権者である自国民にも知らされない外交案件は少なくない。日本が明治以来、諸外国と結んだ密約の歴史を追い、密約の意義、問題点、さらに日本的風土と密約の関連等を指摘したのが『密約外交』(中馬清福著、文春新書)である。
『日米コメ交渉:市場開放の真相と再交渉への展望』(軽部謙介著、中公新書)は、アメリカ側が公開した内部文書を基に、日米が1993年、秘密裏にコメ輸入解禁に合意した過程をあばく。また、『安保条約の成立:吉田外交と天皇外交』(豊下楢彦著、岩波新書)では、憲法で「象徴」と規定されたはずの天皇が、日米安保条約、サンフランシスコ平和条約調印へ向けて、吉田茂首相やマッカーサー最高司令官の頭越しに、米軍駐留の要請という政治的行為をおこなったとする事実に迫る。
 ソ連が意外な形で日米開戦に絡んでいたことを示唆する『ハル・ノートを書いた男:日米開戦外交と「雪」作戦』(須藤眞志著、文春新書)は、日本政府に対米開戦を決断させたとされる「ハル・ノート」の成立過程を様々な外交関連文書を基に読み解く。「ハル・ノート」の素案を書いた財務省特別補佐官ホワイトは、戦後赤狩りでソ連のスパイ容疑をかけられたため、「ハル・ノート」がソ連の影響下に書かれたとする日米開戦ソ連陰謀説が存在する。ホワイトがソ連諜報員と開戦直前接触していたことは明らかだが、ソ連陰謀説の可能性は低く、むしろ本書では「ハル・ノート」をめぐる日米両政府間のパーセプション・ギャップが強調されている。
 原子力問題の専門家であり外交官でもある著者による『科学と外交:軍縮、エネルギー、環境』(今井隆吉著、中公新書)は、核兵器、原子力エネルギー、石油、水資源などに関する国境を越えた諸問題の戦後の変遷をまとめ、科学技術と国際政治の相互作用について分析している。地球規模で地理的・歴史的要因を主にふまえて思考する国際政治学である地政学は、20世紀前半、欧米の外交に影響を与えた。『地政学入門:外交戦略の政治学』(曽村保信著、中公新書)は、代表的なイギリス、ドイツ、アメリカの主要な地政学者の論考を紹介している。
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