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ケータイ小説
携帯電話を使って書かれ、携帯電話の画面で読む“ケータイ小説”。2007年に複数のケータイ小説が単行本化されベストセラーとなって注目をあびた。ケータイ小説ブームの特徴や背景、若者への影響など。
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読書ガイド
 携帯サイトから生まれ、おもに10〜20代の女性に絶大な人気を誇る「ケータイ小説」。サイトでは無料で読める内容が「書籍」として出版され、2007年には出版流通大手「トーハン」が発表した年間ベストセラーの「単行本・文芸」部門の1位から3位を独占した。「ケータイ小説」はなぜこんなに売れたのか、またブームはこのまま続くのか。
『ケータイ小説のリアル』(杉浦由美子著、中公新書ラクレ)の著者は“オタク女子”などに注目し、若い女性の流行などを中心に取材を続けている。書籍化された「ケータイ小説」を中心に取り上げ、「なぜ売れているのか」「ケータイで無料で読めるものをわざわざ買うのはなぜか」「著者はどんな人か」といった疑問について、取材を通じて分析していく。
 一般に想定しがちな「ケータイで既に読んだ作品を記念として買う」のはあくまで一部の消費者。例えば、ケータイを持たない地方在住の女子中学生たちは、書籍版で初めて読む場合が多いのだという。また、レイプや援助交際を含む過激な内容、恋人の死、不治の病といった試練が次から次へとおこる「リアリティのなさ」に関しても、若い読者は現実とは違う「妄想」を楽しみ、「自分の妄想に近いもの」をリアルと表現しているのだ、と分析している。つまりこれらは、従来の少女漫画や少女向けライトノベルの系譜だという。また、「ケータイ小説」を出版している会社は地方の営業にも力を入れているため、郊外の書店でも手に入りやすいが、直木賞や芥川賞の受賞作など、話題の「文芸作品」は、首都圏重視の配本のしわ寄せで、地方では注文してもなかなか入荷しないことが多いのだという。
 文芸書の編集者たちは、文芸書が売れないのは「活字離れのせい」と言い訳してきたが、「ケータイ小説」のヒットで、最近では「リテラシー(読み書き能力)が低い読者が増えたから」という言い訳に変わって来たという。東京中心、地方軽視になっている出版業界の傲慢な態度を批判し、読まずに「クオリティが低い」といってけなす人もいれば、読まずに「(あれだけ売れているのだから)勢いがある」と絶賛する人もいるとしている。著者は実際に多くの作品を読み、多くの関係者に取材した上で、「ケータイ小説」の本質に迫ろうとしている。
『ケータイ小説は文学か』(石原千秋著、ちくまプリマー新書)は日本近代文学の研究者が、海外メディアから受けた取材をきっかけに「ケータイ小説」の分析を試みたもの。「ケータイ小説」を考えることで、現在の文学、新しい文学とは何かがみえてくるという。タイトルにある「問い」については、「自ら『小説』と名乗って『小説』に似せて書かれており、書店で書籍の形で売られている以上は、文学としか言いようがない、『ケータイ小説は文学などではない』というのは好みの問題か差別の問題だ」、とまずは一蹴している。「ケータイ小説は『どんな』文学か」という点について、漱石や春樹から『冬のソナタ』なども引き合いに出して論じている。
『ケータイ小説活字革命論』(伊東寿朗著 、角川SSC新書)、『なぜケータイ小説は売れるのか』(本田透著、ソフトバンク新書)はおもにビジネスモデルとしてみた「ケータイ小説」。前者は人気ケータイ小説サイトの仕掛け人が、2000年の時点で既に生まれていたケータイ小説投稿・発信の無料サイトから「育った」プロではない作家たちの発掘をはじめ、「口コミ」を中心に広がっていった読者層、そして市場が飽和してきたといわれる「ケータイ小説」ビジネスの未来についてなどを語る。
『ケータイ世界の子どもたち』(藤川大祐著 、講談社現代新書 )は、小中学生のケータイ利用にまつわる様々な問題について検討している。著者は、人気のケータイ小説投稿・発信サイトは、早くから利用者の安全対策に取り組んできた「優良サイト」だと指摘している。これらのサイトが、有害情報規制のためのフィルタリング(現状では携帯電話会社の囲い込みに近い)によって、一律にアクセスできないのは問題だとして、安全な表現の場を若者にも確保するためにも、フィルタリングの基準を改善すべきと主張している。
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