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織田信長
戦国時代、最初に天下を統一した織田信長の生涯を追い、人物像を様々に描き出すとともに、信長登場の歴史的意味を解説。合戦の全記録や信長と天皇の関係なども。
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読書ガイド
 戦国最初の覇者となった織田信長は、秀吉、家康とならび最も人気のある戦国武将の一人である。人気もあり、日本中世史における最重要人物であるのだから、その生涯は研究し尽くされ、歴史的位置付けや評価も決定しているのかといえば、そうでもなさそうである。とくに「信長と天皇」や「本能寺の変」の真相については、研究者間で侃諤の議論が続いていて、読む本によって、史実の解釈が全く違っているのである。
 とりあえず、織田信長がどのような人物で、歴史上どのような役割を果たしたか、その基本を抑えるには『織田信長:中世最後の覇者』(脇田修著、中公新書)が適書であろう。出自と尾張の統一、桶狭間を契機に「天下布武」を掲げて上洛、天下統一の道半ばにして本能寺で屠られた生涯を、朝廷との関係、家臣団の統率法、村の支配、経済政策に注目して叙述している。著者は「信長はしたたかかつ慎重」であって、合理を好み、検地や楽市楽座、関所の撤廃など新政策を打ち出したが、土地関係は否定せず中世末期の基本的社会構造は踏襲していたとし、「中世の秩序を破壊した放埓な武将」とする従来の信長像に異議を提出している。朝廷については、信長は勤皇でも反朝廷でもなく、「政権樹立のため合理的に朝廷の権威を利用した」との立場をとっている。『織田信長』(鈴木良一著、岩波新書)は、信長の生涯を時系列で記述していく。
『信長と十字架:「天下布武」の真実を追う』(立花京子著、集英社新書)は、信長本の中で最も異彩を放つ。「信長は、武器や金銀などイエズス会の支援を受けて天下統一の事業に乗り出したが、自ら神となろうとした傲慢からイエズス会に見捨てられ、その巧妙な陰謀によって本能寺で謀殺された」とする奇想天外、大胆にして痛快な新説が提示されている。朝廷をつかって明智光秀に本能寺を襲わせ、さらに羽柴秀吉に光秀を討たせたのも、すべてイエズス会が描いた筋書きだった、という新説には、ミステリーを読むような興奮を覚える。信長研究には、朝廷との関係や本能寺の真相など未解明な部分が多く、学説にもさまざまな矛盾があったり、疑問点が放置されたまま残されたりしている。元は数学を専門としていた著者は、独学で戦国史に打ち込んできた人で、学説に囚われない自由な発想で、その難問に取り組み、信長の後ろ盾にイエズス会があったと考えることで、従来の学説の矛盾や疑問点を解消し、『信長と十字架』の中でそれを解き明かしている。
『信長と天皇 : 中世的権威に挑む覇王』(今谷明著、講談社現代新書)は、信長と朝廷に焦点をあてる。「信長の最大のライバルは、武田でも一向宗でもなく、正親町天皇であり、信長はその権威を圧伏できなかった」というのが著者の立場である。信長に朝廷を滅ぼす意志があったかどうかは別として、たとえあったとしても、恐怖政治によってしか家臣団を統率できず、権力基盤が脆弱だった信長にその実力はなく、天皇の権威を利用して政権運営するしかなかった、とする。
『謎とき本能寺の変』(藤田達生著、講談社現代新書)は、本能寺の変の真相に迫る。著者は、信長による足利義昭追放をもって室町幕府の滅亡とする定説に異を唱え、追放後も15年間将軍職にあった義昭には、幕府の権力基盤も残っていたと主張する。その上で、本能寺の変の首謀者は、室町幕府の復権を目指した将軍義昭だった、というのが著者の見解である。
『回想の織田信長 : フロイス「日本史」より』(フロイス著 ; 松田毅一, 川崎桃太編訳、中公新書)は、信長に厚遇された宣教師が本国への報告のために記した書物で、信長研究の重要一次資料。『織田信長合戦全録 : 桶狭間から本能寺まで』(谷口克広著、中公新書)は、際立った戦巧者ぶりをみせた武将信長の戦略、戦術を考察しつつ、その戦いをすべて記録する。
『信長の親衛隊 : 戦国覇者の多彩な人材』(谷口克広著、中公新書)は、信長の手足となって暗躍した無名の近習たちに光を当てる。
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