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戦後日本の政治史
敗戦、占領軍による間接統治、憲法改正、政党復活、サンフランシスコ講和会議、55年体制、安保闘争、自民党派閥政治と続く戦後日本の政治史を解説。
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読書ガイド
 政局は絶えず動いていて、その大きなうねりを見極めるのはなかなか難しい。戦後という長い期間を見通すことで、日本の政党が歩んだ歴史だけでなく、現代日本の置かれた状況や課題がはっきりする。また、政治の仕組みや問題点を考えてゆくうちに、民主主義、政治とは何か、という根本的なことが明確に捉えられるようになる。
『戦後政治史 新版』(石川真澄著、岩波新書)は、第二次世界大戦で日本がどう敗戦を受け入れ、米国の占領下、新しい国づくりに取り組んだか、という点を克明に記すところから始まる。GHQが新憲法の草案づくりを急がなければ上部の極東委員会で天皇制廃止が主張されそうな情勢があった事実、天皇制を残す以上、再び軍国主義国として復活する可能性のない「軍備なき国家」としての再出発しかなかった経緯など憲法誕生のプロセスがきっちり記されている。朝鮮戦争によって事実上の「再軍備」が始まり選挙の争点となった50年代、日米安全保障条約改定を巡る保革の激突と高度成長に揺さぶられた60年代、多党化や金権政治が明らかになる70年代と、日本の歩みそのものが描かれる。全国紙の政治部記者として取材を重ねたジャーナリストらしく、事実が淡々と積み上げられた記録であり、国際情勢や国内の事件にも目配りしている。
 さらに詳しく知りたい人には『戦後日本政治史』(田中浩著、講談社学術文庫)を薦めたい。「戦後日本」について書かれた本は第二次世界大戦の敗戦から記したものがほとんどであるが、この本は序章として近代日本を掘り下げるところから始まる。明治維新に至る内在的要因を江戸に探り、「大正デモクラシー」の知的遺産、人的資源の結集こそが戦後民主主義への転換を可能にしたと結論するあたり、歴史を考察する面白みを感じる。農地改革に始まる農業近代化政策や、「アフリカの年」と言われた1960年の国連総会における「植民地独立宣言」など、国内外の出来事が過不足なく記されている。安保闘争終結後に流行した「アカシアの雨がやむとき」、NHKの朝の連続ドラマ「おしん」のヒットなど、時代ごとの雰囲気を彷彿させるトピックスも交え、読みやすく克明な戦後史といえる。
『日本人の選択/総選挙の戦後史』(林信吾・葛岡智恭著、平凡社新書)は、ややドラマ仕立てに政治をとらえた戦後史。GHQによって公職追放された新潟出身の翼賛議員の後押しによって、戦後初の総選挙で当選した29歳の青年が田中角栄であったこと、総理大臣になった岸信介と佐藤栄作は実の兄弟であり、どちらも官僚から政治家になったことなど、興味深いエピソードが効果的に挿入されている。政治家の生い立ちや実際の発言が織り込まれ、歴史を生き生きと再現した場面が多いのは本書の魅力だろう。公明党の成り立ちや特徴について触れるなど思い切った表現もあるが、後半は自民党内の派閥抗争を丹念にたどった感が強い。
 こうした歴史を踏まえたうえで『戦後政治の崩壊/デモクラシーはどこへゆくか』(山口二郎著、岩波新書)を読むと、日本の政策がどう実施されてきたか、また現在どんな状況に置かれているかがよくわかる。官僚制の上に長期安定与党が重なることで、日本の議院内閣制が独自の展開を遂げてきた歴史がくっきりと描かれる一方で、メディア政治の危険性や政策不在の連立政治の問題点が指摘されているのは見事である。米英の二大政党制の背景、スコットランドの地方分権が実現した経緯などの説明もわかりやすく、日本の政治を見直す視点を与えられる。幅広いテーマに目配りし、本当の民主政治、今後の世界における日本の国家像と役割を見据えた政策理念がクリアに提示されている。
『日本共産党』(筆坂秀世著、新潮新書)は、長らく共産党に所属し、上層部で活躍した後に離党した筆者による異色のルポルタージュ。日本共産党の創立は1922年と、最も古い政党であり、それ以外の政党はすべて戦後生まれである。党組織の硬直性や、政党助成金を「憲法違反」として受け取らない頑なさなどが苦々しく語られるが、社会主義、共産主義の終焉後に果たす新たな役割もあるのではないかと締めくくられている。
『戦後史のなかの日本社会党/その理想主義とは何であったのか』(原彬久著、中公新書)を、単なる社会党の歴史として読むと、今ひとつ面白くない。しかし、日本の政治家たちが日米関係をどう捉えてきたか、あるいは、米国、ソ連、中国という三大国が国際社会でどう覇権を争ってきたか、という史実を追った記録として読むときに、その狭間で葛藤した一つの政党の姿が見えてくる。中ソ対立や米中接近によって共産圏外交がいかに翻弄されたかというプロセスを読むのは、冷戦後の現在の世界をどう生き抜くかを考える材料ともなりそうだ。日本社会党という一つの政党を通して、世界における日本の歩みが見えてくる。
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