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身体の科学
方向オンチの原理、肩こりの治し方防ぎ方、疲労の仕組み、利き手利き足利き耳、長寿の秘密など、身体の不思議を科学する。
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読書ガイド
 最も身近でありながら、不思議に満ちた世界――それが自分の身体である。その未知なる森へ深く分け入るとき、人体が創造物としてどれほど精妙につくられているかを思い知らされる。私たちは、自分自身を最も知らないのかもしれない。
『非対称の起源/偶然か、必然か』(クリス・マクナマス著、大貫昌子訳、ブルーバックス)を読むと、身体から宇宙が見えてくる。人間の体は一見、左右対称のようだが、内臓の位置は対称ではなく、脳の機能も左右でかなり異なる。第一、私たちの体はほとんど左旋性のL-アミノ酸で出来ているのである。隕石に含まれるアミノ酸もL-アミノ酸が優位であること、クモや貝の中には右旋性のD-アミノ酸を含む毒をもつ種もいるが、DNAの二重らせんは右巻き……生物と左右の関係を知れば知るほど、頭がくらくらする。心臓が左にある理由、右利きの必然性など、身の回りのさまざまな左右が考察されている。
 体の動かし方の左右を根本から捉えなおしたのが『ナンバの身体論/身体が喜ぶ動きを探求する』(矢野龍彦ほか著、光文社新書)。「ナンバ」とは、手足が左右に交差する行進のときの歩き方ではなく、左右同じ側の手と足を交互に出す歩き方をいう。陸上の末續慎吾選手が走法に取り入れて話題になったが、本書はナンバの本質が「身体のねじれやうねりを少なくし、関節の負担や血流の滞りをなくすこと」にあるとし、無駄な動きのないナンバ的動きの練習法から歩き方、走り方まで図解する。著者4人はいずれも高校のバスケットボール部でナンバを取り入れてコーチしており、内容には説得力がある。
『皮膚感覚の不思議/「皮膚」と「心」の身体心理学』(山口創著、ブルーバックス)は、身体の表面である皮膚について探る。痛みや温度、細かな質感を感じ分ける受容器が6種類もあり、部位によって分布密度が異なることには驚く。「痛みとかゆみ」「くすぐったさと快感」などのメカニズムを知ると、皮膚と心が密接に関係していること、スキンシップの大切さが改めて分かる。
 体の痛みの中でもなじみ深いのが腰痛と肩こりだろう。『腰痛・肩こりの科学/原因から治し方・防ぎ方まで』(荒井孝和著、ブルーバックス)は、整形外科医が背骨の仕組みから、腰痛のおこるメカニズム、病気との関係を懇切丁寧に説明。ハイヒールを履く場合、腹筋や足の筋肉が十分に強ければ背筋の伸びた美しい姿勢になるが、筋肉が弱ければ猫背気味になり腰痛にも悪い、椅子のひじ掛けは肩こりを防ぐ、など日常生活で役立つアドバイスが多い。
 痛みはないものの悩みが深いのが髪の問題。『毛髪の話』(井上哲男編著、文春新書)は、毛髪の知られざる事実から正しいヘアケアまで余すところなく書かれている。「毛髪の色素細胞が入れ替わるには80日はかかるので、精神的ショックで一夜にして白髪になるといったことはあり得ない」「黒ゴマや黒豆で毛髪が黒くなるとしたら、皮膚の方が先に黒くなるはず」など、ちまたに流布していることがあっさりと否定されているのが面白い。シャンプーで洗髪して数時間もたてば頭皮は再び弱酸性の皮脂膜で覆われることや、男性の脱毛は早ければ18歳ごろから始まることなど、日頃のケアにも役立つ基礎知識が満載されている好著。
『目玉の学校』(赤瀬川原平著、ちくまプリマー新書)は、視覚の不思議に迫った内容。物の見方を突きつめて考えるプロセスは、哲学的でもあることが実感される。立体視の面白さや、常識を捨てて物を見る楽しみなどについて読み進むうちに、人間の目の構造の特性から美術というものの性質まで捉えることができる。
『給食の味はなぜ懐かしいのか?/五感の先端科学』(山下柚実著、中公新書ラクレ)は、五感それぞれのメカニズムを暮らしに引きつけながら科学的に解き明かす。「痛いの痛いの飛んでいけ!」と唱えると痛みが和らいだり、匂いが思い出と強く結びついたりする不思議さは、人間という生き物の面白さでもある。
 その面白さを真面目に考察したのが『人はなぜ笑うのか/笑いの精神生理学』(志水彰ほか著、ブルーバックス)。まず犬など他の動物の表情から笑いの起源を探り、進化に伴う笑いの発達を追う。それから、「快」「社交上」「緊張緩和」など状況別に笑いを分類し、表情筋や神経、笑いの情報処理の仕組みまで分析する。
『方向オンチの科学』(新垣紀子、野島久雄著、ブルーバックス)は、認知科学、社会心理学を専門とする著者2人が、人の情報処理の仕方と道を覚えるスキルとの関連性、性差による地図を読む能力や空間認知能力の違いなど、「方向オンチ」の実態に多面的に迫る。「方向オンチ」を自称する人ほど、事前の学習が足りなかったり、街路図を見落としたりするケースが多いというのは興味深い。
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