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性差
オスとメス、男と女はどこまでが同じで、どこからが違うのか。また人間の行動の性差による違いは、どこまでが先天的なもので、どこからが後天的なものなのか。
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読書ガイド
 生物はなぜオスとメスの2種類に分かれているのか。改めて思えばこれほどの神秘はない。この問題を進化生物学から楽しく解説したのが『オスとメス=性の不思議』(長谷川真理子著、講談社現代新書)。生物界はさまざまな性の不思議に満ちているが、メスの体に寄生する「究極のヒモ」であるアンコウやら、雄雌同体のカタツムリ、ゾウアザラシのハーレム社会と、面白い話題が満載だ。著者は女性理学博士だが、読みやすい「です・ます」文体で一般読者向きの一冊になっている。クジャクやシカなど、美しく派手なのはなぜオスの方なのか?──自然淘汰の理論を考えたダーウィンもこれには悩んだという。子どもの世話をするのはどっちか、メスの獲得をめぐるオスの戦略、相手の選り好みをするメスと、生物界の不思議な生態を紹介している。後半ではヒトの男女の性に言及しているが、著者は進化生物学を人間社会に安易にあてはめることには警鐘を鳴らす。人間の性差には文化や環境が大いに左右してくるからだ。
 近年、話題とされるのが、生物学的性差ではなく、社会的性差の視点から考える「ジェンダー/セクシュアリティ」だが、若桑みどり著の『お姫様とジェンダー』(ちくま新書)は副題に「アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門」とある通り、ディズニー・アニメの「白雪姫」「シンデレラ」「眠れる森の美女」等を取り上げて性差を考察する。美術史家の著者は現在、女子大でジェンダー論を教えるが、“お姫様願望”を分析する手法は、女子大生の自己アイデンティティを揺さぶるようだ。
『「性」のミステリー』(伏見憲明著、講談社現代新書)はミステリーと言っても生物学的神秘ではなく、性を明かさない登場人物の会話からジェンダーの推理を進めていく、という趣向になっている。そこからは、いかに私たちが社会のジェンダーイメージに囚われているかが浮かび上がってくる。性の役割は、社会・文化的規範あるいは制度によっても規定されてきた。セクシュアリティが多様化している現代で、男女二分割制は果たして妥当なのか、著者は問題提起する。異性愛、同性愛、両性愛、異性装者、社会的なジェンダーイメージによる人間の性的欲情や性行動などは、今やセクシュアリティ考察の基本項目。「ジェンダーの内面化の度合いも個人個人によって異なる」のは当然とし、最後に、会話を進めて来た登場人物の内なるセクシュアリティの多様性を検討している。
 イギリスの心理学者の書いた『男は女より頭がいいか』(ジョン・ニコルソン著、村上恭子訳、ブルーバックス)は、体や脳やホルモンなどの男女の生物学的違いを探りつつ、男性優位がなぜ生じて来たのかを社会心理学的に考察した書。原書はオックスフォード大学出版。これまでの科学では常に、男は女より知性があり優れている、という結論が導かれて来た。そういった偏見や誤解はどのようにして生まれのか、社会的な背景も視野におさめ、男女の違いを改めて客観的に読みといていく。読みやすい一冊だが、話題は英米が中心で、1984年初刊のためデータ的にもやや古い。
 最近は「身体の性」と「心の性」が一致しない性同一性障害についても話題に上ることが多い。医療行為としての性転換手術が日本で初めて行われたのは平成10年。『性同一性障害』(吉永みち子著、集英社新書)は、この手術を軸に、医療側と患者側の両者の実体に迫ったルポルタージュ。これまでは危険なヤミ手術を受けるしかなかった性同一性障害者たちだが、「人権」としての性転換がようやく認められるようになってきた。形成外科や精神神経科など医療側もタブー視を乗り越え、前向きに対処すべく努力を積み重ねてきた。両者が出会うまでの足取りをたどりつつ、法的身分や社会の偏見など、いまだ性同一性障害者が直面する問題も紹介されている。
 この他、人間の身体的性差、性欲や性行動に関して医学的に説明した書として『セックス・サイエンス』(石浜淳美著、ブルーバックス)や『男のからだ・女のからだ』(Quark編、ブルーバックス)があるが、後者は雑誌連載記事を本にまとめたことから写真と文章はかなりきわどい。
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