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たばこ
喫煙が「百害あって一利なし」ならば、人はなぜたばこをやめないのか、やめられないのか。たばこをやめれば本当に「健康」になるのか。愛煙家、嫌煙家ともに満足できるような環境はおとずれるのか。たばこが「嗜好品」だったのどかな時代など。
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 交通機関、デパートやレストランなど公共の場所で、喫煙所がないのはもちろん、灰皿一つ置かない「完全禁煙」を宣言するところが増えてきている。愛煙家の肩身は狭くなる一方だが、こうした動きは嫌煙家にとっては歓迎されるというよりはむしろ、時代の流れとして当然、と受け止められているようだ。たばこが「体に悪い」のが明白な事実だとすれば、現代人にとって喫煙は「悪習」でしかなくなっていくのか。
『現代たばこ戦争』(伊佐山芳郎著、岩波新書)は、反たばこ・反喫煙の立場からたばこ産業を批判。まず、肺がん・喉頭がん・肺気腫のいわゆる「たばこ三大病」と喫煙の因果関係を示し、受動喫煙の危険性を指摘する。また、自動販売機、たばこ広告(あるいはTVドラマの喫煙シーン)がいかに日本の未成年を喫煙の習慣へと煽っているかを訴える。あらゆる面からみてたばこが有害であると主張し、同時にこれに対する日本政府の規制の遅れを指摘する。さらに、禁煙先進国である一方、世界最大のたばこ産業国であるアメリカのたばこ訴訟の歴史について概観。著者は「現代のアヘン戦争ともいうべきたばこ戦争」という表現を使うが、その意味するところは、たばこ市場が狭まるなかで、次なるターゲットを弱者(子ども、女性、後進国)へと向ける「現代の死の商人との戦い」だという。
「喫煙の結果病気になるのは自業自得である」という意見は「死の商人たち」を喜ばせるだけであって、喫煙者対非喫煙者の対立のみで終わる議論は浅薄であるとしている。このほか、各国の喫煙者率の変化やたばこの値段をはじめ、国によってたばこの危険度についてどう警告表示がされているかを紹介している。
『煙草おもしろ意外史』(日本嗜好品アカデミー編、文春新書)は、各種たばこの歴史からたばこの魅力について語り、喫煙の立場を擁護する数少ない一冊。たばこは、アメリカ先住民の間では呪術や占いの供物として、薬として、儀式に欠かせない道具として、様々な役割をもっていたことを紹介。大航海時代にアメリカ先住民からヨーロッパへ、その後世界各地へと伝わり、以来何度も弾圧されながらも、様々な階層の人々に欠かせない文化となっていったという。
 一方、現代の嫌煙風潮を、「(他者への)迷惑鈍感と(自分の蒙る)迷惑過敏」「大人になれない大人たちの氾濫」という表現でとらえ、喫煙者側にも問題があるが、一面的に喫煙を排除しようとする側も問題だと指摘する。また、「大人の嗜み」とされる嗜好品とは何なのか、薬物とはどう違うのかについて、嗜好品は摂取する過程をきわめて大切にする点と、マナーや作法がつきものである点が、「キモチよくなること」だけを目的としている薬物とは大きく異なると説明、その意味で、たばこの中でも簡便で手軽なシガレットが蔓延し、嗜好品のもつ本来の豊かな意味合いが失われつつあるという。たばこに限らず、稀薄になってしまった嗜好品文化、大人としての嗜みを再確認し、さらには「社会的責任と歴史的責任を果たすべき大人社会の復権」がこれからの日本には必要だと主張する。
『タバコ : 愛煙・嫌煙』(宮城音弥著、講談社現代新書)は、健康に関する良し悪しの議論から一歩離れて、「人はなぜタバコを吸うのか」「タバコに利益があるならば、その害をふせぎつつ、うまく用いる方法はあるか」という観点で書かれている。心理学的実験などをふまえ、「問題となるのは量であり、吸い方である(のであって、すべての人に対してタバコの種類に関係なく、吸い方に無関係に、毒物として禁ずべきではない)」としている。
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