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ウイルス
病原体である微生物のひとつであるウイルス。人間や動物などの細胞に入り込んで病気を引き起こすウイルスとはいったい何者なのか。細菌とのちがいや感染のメカニズム。恐ろしい未知のウイルスの実態など。
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読書ガイド
 エイズ・HIV感染症、大腸菌O157感染症、狂牛病(牛海綿状脳症・BSE)、新型インフルエンザ、そしてSARS(重症急性呼吸器症候群)と、現代社会を襲うさまざまな感染症は、断続的に社会を揺るがし今後も新たな感染症が広がる可能性は十分ある。
 これらの原因となるのが主に病原微生物であるが、このなかには寄生虫や細菌、そしてウイルスがある(ただし、狂牛病については異常タンパク質プリオンが原因とされる)。では、ウイルスと細菌とはどう違うのか、そもそもウイルスとはなんなのか、エイズなどを引き起こすウイルス感染のメカニズムとはいかなるものか。こうした根本的な疑問が浮かんでくるだろう。たとえばSARSをもたらすウイルスは、コロナウイルスとされているが、この名称はなにを意味するのか。
 こうした疑問を解明してくれるのがウイルスについて真正面から扱った『ウイルスvs.人体』(山本三毅夫、山本直樹著、講談社現代新書)や『ウイルスがわかる』(清水文七著、ブルーバックス)である。このほか、ウイルスや細菌、感染症をテーマとした書のなかではウイルスについての基本的な解説がある。ただし、その表現の仕方はそれぞれ異なり、読者としてはこれらを総合的に判断すれば理解はより増す。
 先に挙げた2つの著作は主につぎのようなことに触れている。細菌の発見につづいてウイルスが発見された経緯やそれが細菌よりはるかに小さく、細菌とは異なる特性をもっていること。ウイルスは、その性質などによって分類されること。ウイルスの増殖がどういったメカニズムで起こり、どうして感染症を引き起こすのか。ウイルスに対抗するためにはどうしたらいいのか。加えてガンとウイルスとの関係についてやウイルスの利用など。
『ウイルスvs.人体』によれば、ウイルスと細菌の決定的な違いは、細菌が自らタンパク質とエネルギーをつくることのできる独立した微生物であるのに対し、ウイルスのゲノム(遺伝子)サイズはあまりにも小さく、そのように自給自足できず、かわりに宿主である細胞や個体に依存しながら子孫をつくっていくところだという。ウイルスは他の生物の細胞が必ず必要だというわけだ。エイズについていえば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)というものが、ヒトの細胞に入り激しく増殖を繰り返して細胞を破壊していく。
 ウイルスによっては、人は感染しても健康なままでいることもあるが、一方で激烈な症状を示す感染症の元になるウイルスが確認されている。エボラ出血熱を引き起こすエボラウイルスやラッサ熱のラッサウイルス、そしてマールブルグウイルスなどはこの30年の間に人類の前に出現したウイルスで、なかには何を本来宿主としているかさえ不明なものもある。こうした新たなウイルスなど感染症の現状について報告し、解説するのが『謎の感染症が人類を襲う』(藤田紘一郎著、PHP新書)や『キラーウイルス感染症』(山内一也著、ふたばらいふ新書)だ。
 薬がほとんど効かない致死率の高いウイルスの恐ろしさについて触れたこれらの書をはじめ、ウイルス研究者が指摘するのは、自然環境破壊などでいわばそれまで眠っていたような潜在的なウイルスが人間界に進攻してきたという点である。また、現代人の生活が化学物質に頼りすぎていることがウイルスや細菌への抵抗力を失わせているという。人や物の交流が盛んになれば、ウイルスや感染症もより世界に蔓延しやすくなるということは『飛行機に乗ってくる病原体』(響堂新著、角川oneテーマ21)からもよくわかる。
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