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宗教とは何か
宗教とは、いったいいかなる事象なのか。なぜ人は宗教を必要とし、なぜ宗教は成り立つのかーー宗教を多角的に考える。
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読書ガイド
 現代の日本社会では、宗教は「怖い」と敬遠される傾向がある一方で、初詣やお宮参り、受験祈願など、それとは意識されずに民俗宗教が根強く信仰されている。前世や輪廻転生を漠然と信じている人も少なくない。そこに透けて見えるのは、日本人の「宗教」という言葉へのアレルギーと、宗教現象に対する理解の不確かさであると言える。では、いったい宗教とはどのような事態なのであろうか。
 宗教へのアプローチには、信仰体験に基く仕方や、科学的に学問対象とする宗教学的手法、哲学的省察など、様々な方法がある。『宗教学講義 : いったい教授と女生徒のあいだに何が起こったのか』(植島啓司著、ちくま新書)は、宗教学者による入門書である。が、堅苦しい学問の話では全くなく、戯曲の体裁で綴られた女子大生と教授の軽妙な会話を楽しむうちに、宗教とは何か、人が教団に入信するわけ、カルトとはどういう集団か、といったことが説明される仕掛けとなっている。「宗教とは物質的秩序を超越するような関心の現れ」「宗教とはいわゆる人間性の枠をはみ出ようともがく内的力のこと」など、宗教の様々な定義も提示されるが、何より、宗教的な諸問題が読者がそれとは全く意識しないうちに説明されていく著者の企みが優れている。二人の精神科医の対話という形式で書かれた『神、この人間的なもの : 宗教をめぐる精神科医の対話』(なだいなだ著、岩波新書)は、何かを信じずにはおれない人間の側に焦点をあて、宗教を人間の営みとする視点から、それを考えていく。
 人はどのような契機で宗教に入信するのか、なぜある特定の宗教を選択するのか、といった問題が、丁寧に意外性をもって語られる。例えば、入信する契機は、親の信仰を受け継ぐ習慣型や、勧誘による折伏型が多く、多くの人がイメージしている困難や絶望が契機としている人はそれほど多くないことや、宗派や教義はさほど重要ではなく、ある宗教や宗派を選択する基準は尊敬できる人がいるとか、一緒にいて楽しいなどといった人間関係が実は重視されている、などといったことである。
『宗教とはなにか : 古代世界の神話と儀礼から』(小林道憲著、NHKブックス)は、哲学的な観点から宗教現象を説明する。前者は、古代宗教の神話と儀礼を素材に、宗教の原点が「大いなるものへの畏怖と帰一の感情」であることを明らかにし、後者は仏教、キリスト教を素材に、宗教の本質について考察する。
 宗教は大別して死苦を契機として生まれた自覚型宗教(原始仏教、大半の大乗仏教、禅宗など)、罪を契機とする信仰型宗教(キリスト教、浄土系仏教など)に二分されるが、どちらもたどり着くところは同じで、死苦や罪に迷う人間存在も、宇宙の大なる生命に生かされてある、という結論に至るというのが著者の立場である。『宗教の創造力』(荒木美智雄著、講談社学術文庫)は、宗教の根源には「聖なるもの」との関わりがあるとの立場から、多くの宗教現象をたんねんに読み解く。
『「脱」宗教のすすめ』(竹内靖雄著、PHP新書)は、宗教を経済活動と捉え、消費者の目から宗教を観察する、という立場で書かれている。この立場はユニークで、宗教を隠れ蓑に詐欺まがいのことを行う集団から身を守るには役に立つかもしれないが、この立場から宗教や宗教現象を理解することは困難である。
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